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Home / 恋愛 / 強引な後輩は年上彼女を甘やかす / 01_3 歓送迎会 姫乃side

01_3 歓送迎会 姫乃side

Author: あさの紅茶
2025-04-09 16:02:42

私は一人納得し、意を決して口を開いた。

「あの実は……」

「それにね真希ちゃん、姫ちゃんはお茶汲みから経験してる女子社員の鑑なのよ」

祥子さんがビールジョッキ片手に、私の肩をバンバンと叩く。思わず言葉を飲み込んだ。

「ええっ? 今時お茶汲みですか?」

真希ちゃんが、信じられないと言った顔でこちらを見る。

「あ、うん。入社当時は、だよ」

「さすがに今はそんなのないよね。今そんなことさせたら、セクハラパワハラだって問題になるわよー」

「ですよねー。私絶対やりたくないもん。あ、早田さんにならお茶入れてあげたいかな」

真希ちゃんは否定しつつも、調子の良いことを言う。

「真希ちゃん現金な子! とはいっても、女は損よねー。頑張ったって出世の道もないんだからさぁ」

祥子さんはビールを煽りながら嘆いた。

私は空いた大皿を店員さんに返しながら、新しく運ばれてきた天ぷらの大皿と交換する。

「祥子さん、今はだいぶ緩和されましたよ。女性役職者もいますし」

「そう? だったら姫ちゃんだってそろそろ階級が上がったってよくない?」

「階級って何ですか?」

真希ちゃんの質問に祥子さんは少し声を落とし、早田さんの方をこっそり指差す。

「真希ちゃん、課長になるためにはいくつ階級があると思う?」

「課長の前がグループ長で、その前が主任でしたっけ? だから三つ?」

祥子さんはカバンからペンを取り出すと、割り箸の箸包みに階級を書き出す。

平社員から主任に上がるには、一級から三級までの三段階あり、主任からグループ長に上がるにも試験がある。その上の課長になるためには、試験と上司からの推薦が必要だ。

うちの会社は大手で歴史も古く、今なお昔ながらの階級制度が残っている。

「さっすが、祥子さん詳しいですね」

「私は元社員だもの。結婚出産で退職してパートで出戻りしただけだから、会社の事情は割りと知ってるわ。昔は産休育休なんて取れなかったのよねぇ」

「へえー」

真希ちゃんと私はしきりに感心した。

確かに祥子さんの言うとおり、出世に関してはまだまだ男尊女卑の傾向は強い。今はだいぶ制度が整ってきたので、ようやく女性役職者が増えてきた。産休育休の取得率も上がっているみたいだ。

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